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アルギン酸の使い方(溶かし方)

How to use

アルギン(アルギン酸、アルギン酸塩類、アルギン酸誘導体を総称して「アルギン」と呼びます)を水溶液として使用する場合に、その機能を十分に引き出すには、アルギンを上手に溶かして均一な水溶液をつくることが大切です。
アルギンは水和性の高い物質で本来水に溶けやすい性質を持っていますが、その水和性の高さゆえに、水と触れると大きな固まり(ママコ)を作りやすく、場合によっては「溶かしづらい」と評されることがあります。

アルギンを効率よく溶解させるコツは、アルギンの粉末を素早く均一に水中へ分散させることです。細かく均一に水中に分散したアルギンの粉末は徐々に膨潤して比較的短時間できれいに溶解します。一方、均一に分散せず一度ママコを作ってしまうと、膨潤・溶解するまでに長い時間を要します。

このページでは、アルギンの粉末を素早く均一に水中へ分散・溶解させるための基本的な溶解方法を紹介します。

アルギンの溶解性

まずは、溶媒や溶液の性質ごとにアルギンの溶解性を整理します。〇印の付いている溶媒にはアルギンを溶かすことができます。

溶解性 アルギン酸 アルギン酸
ナトリウム
アルギン酸
カリウム
アルギン酸
カルシウム
アルギン酸
アンモニウム
アルギン酸
エステル
水、湯
油脂
有機溶媒
酸性の液体 果汁、酒、
ドレッシングなど
アルカリ性の液体 かんすい溶液など
※1 ※1 ※2 ※1 ※3
多価カチオンを含む液体 硬水、牛乳など
  • 強アルカリ中では粘度が急激に低下することがあります
  • アルカリの種類によっては溶解する場合があります(炭酸Naなど)
  • 中性~アルカリ性の条件下ではエステルが分解してアルギン酸塩になります

HOW TO DISSOLVE

強撹拌

  • プロペラ型撹拌機などで水を強撹拌し、容器一杯の大きな渦を作る※1
  • できた渦の壁面へアルギンの粉末を少しずつふりかけるように投入する※2
  • 未溶物が見えなくなるまで強撹拌を続ける。
  • 撹拌装置には、容器内の水を十分に撹拌できる力、溶解後の強い粘性を帯びた液体を撹拌できる力が必要です。
  • 適宜、途中で撹拌を止めてプロペラや容器の壁面に粉末が付着していないか確認し、付着していた場合にはスパチュラなどで掻き落として、もう一度溶かしてください。

ママコが
出来てしまったら…

粉末投入時に適切に分散されないと粉の表面が濡れて固まり、大きなダマ(ママコ)ができてしまいます。でも大丈夫。たとえ大きなママコができてしまっても一晩(長時間)静置※3しておけば、何もしなくてもやがてきれいに膨潤・溶解します。
十分な時間が取れる場合には、あえてはじめからママコを作り、ゆっくり時間を掛けて膨潤させることもひとつの方法です。

  • アルギンを水に浸した状態で長時間室温に放置すると粘度低下などの品質低下が起きる可能性があります。長時間置く場合は、冷蔵庫などの冷暗所で保管することを推奨します。

分散剤

砂糖や塩などの分散剤とあらかじめ混合(プレミックス)してから水中に投入すると、弱い撹拌力でもママコを作らず、きれいに分散・溶解することができます。良好な分散性を得るためには、アルギン粉末の6倍量以上の分散剤と均一に混合することが必要です。

1.

砂糖とプレミックスしたアルギンは、撹拌が弱くてもママコを作ることなく、容易に水中に分散します。

2.

アルギン粉末は膨潤を始めますが、粉末同士がきちんと分散しているので大きな塊にはなりません。

3.

ママコのない分散液が得られました。このまま放置するか、弱い撹拌を続ければ、短時間できれいなアルギン溶液が得られます。

分散剤にアルコールを用いる方法もあります。アルギンの粉末に少量のアルコール(エタノール等)を加えて流動性のあるスラリー(泥状、おかゆ状の分散液)を作り、そこへ一気に水を注ぐと、ママコのない分散状態が得られます。いったん分散させてしまえば、あとは弱い撹拌で均一な溶液を得ることができます。

1.

アルギンにアルコールを加えてスラリーを作ります。アルコールの量はやや多目の方が分散させやすくなります。

2.

スラリーに水を加えます。
このとき、アルギン粉末が沈殿しないように撹拌しながら水を加えるのがコツです。

3.

ママコのない分散液が得られました。このまま放置するか、弱い撹拌を続ければ、短時間できれいなアルギン溶液が得られます。

溶解装置(キミカディフューザー)

キミカオリジナルの攪拌装置「キミカディフューザー」(税抜15万円)なら、強攪拌装置や分散剤を用意することなく短時間で効率よく分散・溶解することができます。構造が単純で動力(電源)を必要としない装置なので、設置も後片付けも簡便です。

ディフューザーあり
ディフューザーなし

キミカディフューザーを使うと、水流で粉末が吸収され、分散剤や強撹拌を使用しなくてもママコを作りません。アルギン粉末が効率よく水に溶解します。

使用方法

キミカディフューザー本体に、ホッパーやホースの設置を行い溶解槽に水(またはお湯)を供給します。

水を供給しながら、所定量の粉末をホッパーへ供給します。その後、ホッパー内の粉末が全て吸引されたら、所定の量まで水を張って終了となります。

キミカオンラインストアで
ご購入いただけます。

キミカでは、粒子の大きさを調整し分散性(溶解性)を向上させた造粒品も製造しています。装置や分散剤を用いることなく簡単に溶解するアルギンをお求めの場合は、キミカの造粒製品をご利用ください。

水に溶かさず
粉末のまま使う場合

アルギンは、水溶液として使用するだけでなく、粉末のまま使用(配合)することもできます。粉末のまま配合する場合にも、その機能を十分に引き出すためのコツはアルギンを製品全体に均一に行き渡らせることですが、その使用量は最終製品に対して1~2%程度であることが多く、単に少量のアルギン粉末を計り取って投入するだけでは、全体へ均一には混ざりません。

粉末のまま使用する場合には、まずは主原料の一部(10%程度)をとりわけ、そこに必要量のアルギン粉末を投入して一次混合し、これを全体へ混ぜ直すような手順を踏みます。これにより、アルギンが製品全体に均一に行き渡り、アルギンが力を発揮しやすくなります。

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