化粧品
アルギンの持つなめらかな流動性や独特のゲル化能力が、化粧品の原料・基材として「落ちない口紅」や「練り歯磨き」、「フェイスマスク」などに利用されています。
応用例・効果
※様々なタイプのアルギン酸類を「アルギン」と総称しています。応用例毎に正確な物質名を注記していますのでご参照ください。
落ちない口紅
唇表面の皮膜が色移りを防ぎ、化粧を長持ちさせます

アルギンとカルシウムを配合した口紅を唇に塗ると、呼気や唾液などの水分によって口紅に含まれるアルギンが溶け、次いでカルシウムと反応してゲル化します。その結果、口紅の表面にアルギンゲルの皮膜ができます。
口紅を塗った唇の表面がアルギンの皮膜でコーティングされることで、カップやグラスに口をつけても口紅の色素が移らず、化粧が長持ちするという効果が発揮されます。
- 【使用するアルギン】
- アルギン酸ナトリウム(商品名:キミカアルギン)
- キミカアルギン
吸水性ビーズ
微細な多孔質のマイクロビーズが汗や皮脂を吸収します

カルシウム塩の水溶液中にアルギン溶液を滴下すると、球状のゲルビーズ、いわゆる人工イクラができますが、同じ原理で加工された直径10µmほどの微細なマイクロビーズが、化粧品の基材として利用されています。
乾燥されたマイクロビーズは多孔質で、水を吸い込んでも溶けたり膨らんだりせず、逆に周囲が乾燥してくるとその水分を放出する、まるで呼吸するような性質を持ちます。このマイクロビーズを配合することで、汗ばんでもテカらないファンデーションや、汗を吸ってもサラッとした肌触りの制汗スプレーなどが商品化されています。
- 【使用するアルギン】
- アルギン酸ナトリウム(商品名:キミカアルギン)、アルギン酸塩類
- キミカアルギン
練り歯磨き
数ある増粘剤の中でも最も流動性が良く使用感に優れます

アルギンは、練り歯磨きの粘結剤として利用されています。歯磨きの成分(研磨剤など)が沈殿するのを防ぎ、保存中の品質を維持するための粘結剤には、いくつかの増粘多糖類が使われています。中でもアルギンは溶液の流動性が最も滑らかで、使用したときに口腔中でベタつかず、爽やかな使い心地を与える粘結剤として定評があります。
- 【使用するアルギン】
- アルギン酸ナトリウム(商品名:キミカアルギン)
- キミカアルギン
フェイスパック(ピールオフパック)
短時間でシート状にゲル化し、肌を保湿するとともに汚れを捕まえます

ペースト状のパック剤を顔に塗り、毛穴汚れとともに剥がすピールオフパックにも、アルギンが利用されています。一般的なピールオフパックは塗布したペーストが乾いて皮膜状になるまで待たなくてはなりませんが、アルギンを使うとパック剤が顔の表面でシート状にゲル化するため、乾くまで待つ必要がありません。
粉末状のパック剤に水を加えて練ることでアルギンが溶解し、顔に塗布し終えた後でカルシウム塩と反応してゲル化するという仕組みです。アルギンの溶液は流動性が良いため、塗布したパック剤は皮膚の隅々まで行き渡り、肌を保湿します。そして自らはゲル化して毛穴の汚れや角栓などを捕まえながら剥がされます。
- 【使用するアルギン】
- アルギン酸ナトリウム(商品名:キミカアルギン)、アルギン酸塩類
- キミカアルギン