飼料・肥料
アルギンは、ペットフードや養殖魚の餌、育苗培土などを加工するために使われています。またアルギンを抽出したあとに残る海藻も、農業用資材として付加価値を付けて活用されています。キミカは、天恵の資源である海藻を余すところなく有効利用しています。
応用例・効果
※様々なタイプのアルギン酸類を「アルギン」と総称しています。応用例毎に正確な物質名を注記していますのでご参照ください。
ペットフードの成形(結着肉)
加熱殺菌しても形状を保ち、食感も自在に調整することができます
アルギンを使って成形したミートチャンク(肉塊)が、缶入りのペットフードに使われています。成型肉は酵素を使って加工されることも多いですが、ペットフードのように缶詰で流通するものでは、殺菌のための高熱で酵素が傷むため、当初の成形状態が維持できません。一方、アルギンのゲルには耐熱性があるので、加熱殺菌しても成型状態が崩れません。さらに、高ゲル強度のアルギンを使うことで食感の調整にも役立てることができます。
- 【使用するアルギン】
- アルギン酸ナトリウム(商品名:キミカアルギン、アルギテックス)
- キミカアルギン、アルギテックス
養魚飼料のバインダー
ペレットが水中で崩れにくくなり、残餌を抑えることができます
養殖魚に与える飼料(モイストペレット)が水中で崩壊することを防ぐためのバインダー(結着剤)として、アルギンが利用されています。
十分な強度のないペレットを生け簀に投入すると、餌を奪い合う魚の勢いでペレットが崩れてしまいます。粉々になった飼料は捕食されないので投餌効率が悪く、また残餌が海底に堆積すると病原菌や赤潮を発生させるなど、環境にも悪影響を及ぼします。
これを改善するためには、与えた餌がきちんと捕食されるよう、ペレットの強度を適切に高める必要があります。そのために効果的なバインダーとして、アルギンが使われています。
ペレットに配合されたアルギンは、原料(魚肉や魚粉)に含まれるカルシウムや鉄分と反応してゲルネットワークを形成し、ペレットの構造を強化します。さらに、投餌後は海水中のミネラルによってペレットの表面がより強くゲル化し、崩れにくくなります。アルギンを配合したモイストペレットは、暴れる魚の群れの中でもバラケない、十分な強度を持ちます。魚が食いちぎった残りの部分も塊の状態で浮遊し、次の魚に捕食されますので、結果的に残餌を大幅に減らすことができます。
- 【使用するアルギン】
- アルギン酸ナトリウム(商品名:キミカアルギン、アルギテックス)
- キミカアルギン、アルギテックス
育苗培土のバインダー
培土を固めて根鉢の形状を保ち易くし、機械移植を容易にします
農作業を合理化するため、作物の種子を育苗用の培土で発芽させ、苗として集中育成した上で農地へ植え替える方法が行われています。苗を培土と共に移植することで農地での活着率を高めることができますが、移植時に培土が固まっていないと根鉢(ねばち)が崩れたり、根が傷ついたりして、作業効率が損なわれます。特に栽培規模が大きな農地では苗を培土ごと機械で植えていくため、根鉢が形状を保つことは非常に重要です。この育苗培土を固めるバインダーとして、アルギンが使われています。
この方法では、アルギンを水溶液にして育苗箱にかけ、培土に染みこませます。アルギンは培土に含まれるミネラル分と反応してゲル化し、根鉢を軟らかいゼリー状に固めます。こうして十分な強度を得た苗は、機械で移植できるようになります。 アルギンは天然海藻の成分で、移植後は土壌の微生物により容易に分解されます。合成高分子とは違い、環境や作物への心配が要らないバインダーです。
- 【使用するアルギン】
- アルギン酸ナトリウム(商品名:キミカアルギン、アルギテックス)
- キミカアルギン、アルギテックス
キミカは、天恵の資源である海藻を余すことなく有効利用しています。
ここでは、アルギンを抽出し終えた海藻の活用事例をふたつご紹介します。
Column
エノキダケの菌糸活性
エノキダケは専用の培地に種菌を植えて栽培します。キミカの海藻粉末は培地中の菌糸を活性化して水分や養分を多く取り込んだ太くて色白なエノキダケを育てるために役立てられています。キミカの海藻粉末を使うことで、収穫量が3倍以上に向上した例も報告されています。
エノキダケの菌糸活性化は、海藻の微量成分(ミネラルやアミノ酸)による効果と考えられています。こうした微量成分は、強靱なセルロースから成る海藻の細胞壁内に存在するため、単に海藻を乾かして砕いただけでは、有用成分をエノキダケに作用させることはできません。キミカの海藻粉末は、アルギンの抽出工程を経て細胞壁が破壊されているため、有用成分を菌糸に効果的に作用させることができるのです。
Column
土壌改良材
キミカの海藻粉末は、海洋由来の良質なミネラルを豊富に含む有用な「土壌改良材」として活用しています。
海藻が葉物野菜の成長促進効果や、柑橘類の糖度向上効果を持つことは昔からよく知られていました。また海藻の主成分であるセルロースやアルギンなどの多糖類には、土壌を団粒化させる効果もあります(団粒化した土壌は通気性・排水性・保水性・保肥性に優れ、根が栄養を吸収しやすくなります)。
しかし、単に海藻を土に漉き込むだけでは分解に時間がかかるうえ、土中で二次発酵を起こして作物に悪影響を与えかねません。そこで、キミカは、海藻粉末を発酵槽で完全に発酵させてから商品化しています。作物に悪影響を与える心配のない土壌改良材にはファンが多く、ロングセラー商品となっています。