ゼリー
ゲル化に加熱や冷却を必要としない、アルギン独特のゲル化システムを応用した、ユニークな「ゼリー食品」が次々と開発されています。香辛料や調味料を閉じ込めたカプセルは創作料理のアクセントとして、ジュースを使ったカプセルは流行りのスイーツとして活躍しています。アルギンで作った人工フカヒレは、サメを傷つけることなくフカヒレ料理を楽しめるサステナブルな食材としても注目されています。
応用例・効果
※様々なタイプのアルギン酸類を「アルギン」と総称しています。応用例毎に正確な物質名を注記していますのでご参照ください。
人工イクラ
カラフルな球状ゼリー(粒ゼリー)を作ることができます
カルシウムと反応して瞬時にゲル化する、アルギン独特の性質を最も特徴的に利用しているのが人工イクラです。カルシウムがイオン化した水溶液(塩化カルシウム溶液、乳酸カルシウム溶液など)の中にアルギンの水溶液を滴下すると、両液の接触面で一瞬にしてゲル化反応が起こります。
滴下されたアルギン溶液は粘性を帯びているため、カルシウム溶液の中で拡散することなく浮遊して、表面張力で丸くなりながらゲル化が進み、球状のゼリーとなります。
この球状ゼリーをイクラのような外観にするためには、アルギンに色素を加えて着色する必要があります。また、表面の皮膜のみをゲル化させて、中心をゾルのままにするには、特殊な二重管を使ってアルギンと内部液を同時に滴下するような装置を使います。さらに注入管をもう一本増やした三重管として、中心部に油を入れながら滴下することで、イクラの「目玉」になる油滴を封入することもできます。
現在、イクラの代用品として利用されるケースは少ないですが、カラフルな食材や香辛料、調味料などをカプセル状にゲル化させ、創作料理のアクセントとして添えるような利用法が増えています。
またイカスミなどで黒く色づけした、人工キャビアも実用化されています。
- 【使用するアルギン】
- アルギン酸ナトリウム(商品名:キミカアルギン)、アルギン酸塩類
- キミカアルギン
- アルギンゼリー応用例
- 【推奨使用量】
- 全重量の1~2%
コーティングジュース
酸性飲料でもカプセル状の球状ゼリーを作ることができます
韓国発のスイーツ「コーティングジュース」の加工にも、アルギンが活躍しています。人工イクラによく似た球状ゼリーの中に、フルーツ味の液体を封入したものですが、コーティングジュースは人工イクラと逆の方法で作られています。
人工イクラはカルシウム溶液の中にアルギン溶液を滴下するのに対し、コーティングジュースでは逆にアルギン溶液中にカルシウム溶液を滴下します。
アルギンは酸性条件下で不溶化する性質がありますので、果汁飲料やフルーツピューレなど、クエン酸を多く含む食材には上手く混ざらないことがあります。そこで、食材にアルギンではなくカルシウム塩を加えて、これをアルギン溶液に滴下すれば、やはり両液の接触面でゲル化反応が起きて、皮膜だけがゲル化したカプセル状の球状ゼリーを作ることができます。
- 【使用するアルギン】
- アルギン酸ナトリウム(商品名:キミカアルギン)、アルギン酸塩類
- キミカアルギン
- コーティングジュース
- 【推奨使用量】
- 全重量の1~2%
人工フカヒレ
サメを乱獲から守る、サステナブルな食材として注目されています
アルギンをカルシウム溶液に流し込むと、細長い麺状のゲルとなります。これを紡錘形になるよう加工したものが、人工フカヒレ(散翅・サンツー)です。人工フカヒレは30年以上前から実用化されており、世界中に普及しています。
現在、世界各地で天然フカヒレを目当てとしたサメの乱獲が問題となっており、その対策のために天然フカヒレ自体の流通を禁止する国も増えています。アルギンで作る人工フカヒレは、単なる「コピー食品」の域を超え、サメを傷つけることなくフカヒレ料理を楽しめる、サステナブルな食材なのです。
- 【推奨使用量】
- 全重量の1~2%
海藻麺
爽やかな透明感とプチプチ食感を楽しめるカロリーゼロ麺
サラダのトッピングや刺身のつまとして利用される「海藻麺」は、アルギンをカルシウムで麺状にゲル化させたものです。爽やかな透明感のある外観と、プチプチした食感が楽しめることから、外食産業で利用されるほか、スーパーでも市販されている人気の商品です。
主成分(アルギン)以外はほとんど水なので、摂取カロリーが極めて低いヘルシーな食品です。
- 【使用するアルギン】
- アルギン酸ナトリウム(商品名:キミカアルギン)、アルギン酸塩類
- キミカアルギン
- 【推奨使用量】
- 全重量の1~2%
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