IT管理を一手に担う
デジタル環境の守護神
システム管理グループリーダー
# ITスペシャリスト
# デジタル人材
KIMICAのオフィスは、柱や壁のない、広々としたオープンスペースだ。整然と並ぶデスクには、等間隔でPCモニターが設置され、社員たちがそれぞれの仕事に勤しんでいる。
「オフィスは、完全なフリーアドレスです。社員は自分のノートPCをモニターに接続すれば、どこでも仕事できるようになっています」
フリーアドレスの効用は、部署の垣根を超えたコミュニケーションの促進だ。原則、2日続けて同じデスクで執務することは禁止。毎日好きな場所を選べるという側面もあるが、たとえばその時点で課題を共有する別部署の担当者が、隣り合わせで解決策を検討することもできる。デスクに書類がうず高く積み上げられた、閉鎖的な古いオフイス像は、ここではすでに、過去のものだ。
「みなさん毎日、ドラスティックに入れ替わっていますね。他部門の人とも、自然に意見交換できるようになっている感じがします。毎日席が変わると居場所がわからないという問題が起きがちですが、モニターの上に名札を掲示するようになっているので、『あの人は今日、あそこにいるな』という感じで、すぐわかります」
しかし、システム管理の責任者としての悩みは、また別のところにある。
「PCに苦手意識のある人に、いかに使い方・活用法を理解してもらえるか……ということに一番悩みますね。また、オフィス内を歩いていると、行く先々で呼び止められて、PC操作について質問を受けます。質問に答えたり、トラブル対応をしたりしていると、あっという間に1日が終わる、といった感じですね(笑)」
問い合わせ内容は、電源の入れ忘れ、プラグの接続ミスといった〝あるある系〟はもちろん、Wi-Fi接続の不具合、画面フリーズからの復帰や、オフィスソフトの基本操作、PCやモニター、システムの不具合、果ては機器の故障対応までと多種多様だ。
「『助けてくれ!』と言われたら、駆け付けて状況を確認して、その場で対処してしまいます。自分の知識や技術ではどうしようもない場合は、専門業者や製造元にすぐ連絡を取って、プロの力を借りて最速で対処してもらっています」
システム管理だけでなく、社内イベントの運営、設備管理などの総務系の業務も幅広く担当しているので、仕事中はけっこう集中しています。そんな日々の疲れを癒すのは、なんといってもPCゲームです。いまは、ゲーム用にカスタマイズしたPCで、シューティング系、アドベンチャー系、アクション系などジャンル問わずに没頭しています(笑)。最近はVRにも目覚めてしまったので、とにかく時間がほしいです!
大学では化学を専攻した。ゲームの作り方を知りたいと思い入ったサークルでプログラミングを学び、その面白さに目覚めてIT系の道に進むことになった。IT業界からの転機は祖母の逝去だった。
これから老後を迎える両親のそばにいたいと思い、地元の企業を探していました。KIMICAは地元での知名度が高く、家族や親戚も知っている企業だったので安心感がありました」
入社後から1年間、品質管理の仕事を経験したのち、システム管理の仕事を任された。
「Wi-Fi環境の確実性を担保すること、クラウド上のデータを保全することなどに、細心の注意を払っています。世界的なIT企業のシステムを使用して、二重三重の危機回避策を取っていますが、《万一》という危険性は常に孕んでいますから……」
驚くほどのスピードで変容するデジタル環境、それに勝るとも劣らないKIMICAの事業の進化に対応するため、社内システムも即応変化することが求められる。
「基幹システムや、ワークフロー・システムの更新は、しばしばあります。新規システムの導入計画があると、全社的にどんな効果が見込めるのか、どれだけ社員の負担を軽減できるのか、どうすればストレスなく使ってもらえるかを検討します。更新・導入に際しては、できるだけわかりやすいマニュアルを用意するよう心がけています。情報共有を欠かすことなく、みなさんに喜んで使ってもらえるシステムを提案・導入することが、私に課せられた職務ですから……」
「日々いろいろなことが起こるため、とにかく飽きない」というのが、正直な気持ちだ。システムは、正常に稼働するのが当たり前と思われがちだが、その維持・管理には、縁の下の力持ち的な、不屈のスピリットが不可欠だ。
「システム部門はお金を生み出すところではない。だからこそ、売り上げに貢献している部門のスタッフが困らないように、快適に仕事ができるように、ということを常に意識しています。もう一つ、いつも心に刻んでいるのは、キミカスピリット10の約束の6番『お客様第一を貫く』です。私にとっての「お客様」はシステムのユーザー、すなわち、キミカの社員です。そして、彼らの先には会社のお客様──お取引先、キミカ製品を活用する世界中の人たちがいる。自分で考え行動することが、社内のみならず、世界につながっていく……それを貫くのが、私にとっての「お客様第一」です」
デジタルの申し子の目標は、「KIMICAの成長に必要と思われるITインフラを整えること」を通じ「自分の代に創設されたKIMICAのシステム部門を発展させること」だ。